セフレの姉がウチに来て…|「なんだかんだ可愛い」で全部決まってる
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誰かを可愛いと思ってしまう瞬間って、だいたい予定外のところで来ます。
覚悟して会った相手じゃない。むしろ怒られる前提で、頭を下げる準備をして向き合った相手だったりする。
そういう時にかぎって、相手の指先が震えてるのに気づいてしまう。この本のタイトルにある「なんだかんだ」って、たぶんそれです。
- サークルSTUDIOふあん
- ページ数43
- 配信日2026-11-01
770円
セフレの姉がウチに来てなんだかんだ可愛いので中に出した。のあらすじ
部屋のチャイムが鳴ります。立ってるのは、妹のほう——つまりセフレのともこ——ではなく、その姉。ゆきこさんと名乗ります。
主人公の頭の中は一瞬で「終わった」になります。妹とどういう関係かなんて、言い訳のしようがない。だから机を挟んで正座して、床に額をつけて、セックスフレンドです、申し訳ありません、と吐き出してしまう。土下座の準備はもうできてるんですよ、彼。
ところが姉のほうは、文句を言いに来たんじゃないと言います。そして、両手を顔の前で合わせたまま、震える指でネクタイを握りしめたまま、とんでもないことを口にする。
私ともセフレから始めてもらえませんか、と。
この時点でもう面白いんですが、いいのは次です。彼が食い気味に承諾してしまったあと、姉のほうが「えっ」という顔で固まる。言い出した本人が一番動揺してる。断られる前提で勇気を振り絞ったのに、即答されて処理が追いついてない顔。
立ち読みで読めるのは、だいたいこのあたりまでです。姉が立ち上がって、俺と? お姉さんも? ここで? と確認を取られるたびに小さく頷く、あの短いやりとり。あそこから先が本番のはずです。
「なんだかんだ」の四文字に、結論が先に出てる
この本、タイトルの時点でもう決着がついてるんですよ。
セフレって、感情を持ち込まないための言葉でしょう。都合がいいから続いてる、それ以上は言わない、という取り決め。その取り決めの中にいた男が、よりによって相手の姉に対して「なんだかんだ可愛い」と思ってしまう。
可愛いと思った時点で、もうセフレの作法から外れてるんです。しかも相手はそのルールを作った張本人の、血の繋がった姉。
怖いのは、姉のほうも同じ船に乗ろうとしてることです。妹がいいなら私でもいいのかなあ、と言い出す。この言い方がすごく厄介で、妹を否定してないんですよ。妹の隣に自分を置こうとしてる。そんなの、断れるわけがない。
だから背徳は重くない。重くないのに、じわっと残る。ドロドロの修羅場を見たいわけじゃないけど、何もない日常系では物足りない——そういう気分の時に、ちょうどいい濃さだと思います。
セフレの姉がウチに来て…のサンプルで、一番効いた一枚
サンプルを見て、手が止まったページがあります。
姉が両手の拳を口元に当てて、上目で固まってるコマ。背景にキラキラが散ってて、照れてるのが全身から漏れてる。でも制服のシャツは胸のところで完全に限界を迎えていて、ネクタイが押し出されて浮いてる。顔は少女漫画なのに、体が言うことを聞いてない。
この落差です。本人は真面目に、勇気を出して、ちゃんとお願いしてるつもりなんですよ。それなのに、見てるこっちは全然ちゃんと話を聞けない。主人公が食い気味に頷いた気持ちが、読者にもそのまま入ってくる。
あと、確認を取られるたびに小さく頷く連続コマ。こくっ、こくこくっ、と頷く姉の表情が一コマごとに照れから覚悟に変わっていって、最後に立ち上がる。すくっと立った全身のシルエットが、もうはっきり「やる」と言ってる。それを見上げる男がびくっとなる。この順番が最高なんですよ。
キャラ紹介ページに書いてあるひとことも効いてます。妹よりまともに見えたから家に入れた、でも甘かった、と。まともに見えた、ってところ。黒髪ぱっつんにポニーテール、きちんとネクタイを締めた優等生の顔をしてる人が、一番とんでもないことを言い出す。この型、何度見ても勝てません。
画面に出てこない妹が、ずっと効いている
キャラ紹介に、妹は今回登場しないと書いてあります。
これ、逃げじゃないです。むしろ強い。だって出てこないほうが、こっちが勝手に考えるんですよ。今ごろ妹は何をしてるんだろう、この姉は帰ってどんな顔をするんだろう、って。
姉妹の顔が似てるのも効いてます。並べて見ると、髪型と目つきが違うだけでほとんど同じ顔なんです。だから姉を抱いてるあいだ、妹の顔がちらつかないわけがない。そこを一切描かないまま成立させてるのが、この短編のうまいところだと思います。
作ってる側の目で見ると、出てこないキャラの存在感で話を支えるのは一番ごまかしが効かないやつです。絵で押せないぶん、全部キャラ設定の強さに賭けることになる。それを43ページでやると決めた以上、読む側は寄り道なしで欲しいところだけ受け取れます。
43ページ770円を、どう受け取るか
短編で何度か外した記憶がある人ほど、ここで止まると思います。分かります。
ただ、この本は前置きがめちゃくちゃ短いんですよ。チャイム、土下座、提案、即答。ここまでで数ページです。あとは全部ゆきこさんの時間になる。43ページを分厚い前フリに使うタイプとは逆の作りです。
◎ こういう人は買っていい
- 黒髪ぱっつん+ポニーテールの優等生顔が好きな人
- 制服のシャツがはち切れてる画に弱い人
- 重いNTRは疲れるけど、背徳はちょっと欲しい人
- 受け身に見えて自分から言い出す子が好きな人
- 前置きが短くて本題まで早い短編を探している人
△ これは合わないかも
- セフレ本人の妹が絡むのを期待すると、今回は出てこない
- 43ページなので、じっくり関係が変わる過程を味わいたい人には短い
- 修羅場や泥沼を求めるタイプのドラマはほぼない
- 前作を知らないと、妹との関係は説明だけで飲み込むことになる
最後に
怒られる覚悟で頭を下げたら、相手が震える指で別のお願いをしてきた。しかもその人が、妹より真面目そうな顔をしている。
そういう展開に弱い自覚があるなら、もう答えは出てるはずです。サンプルのあの、拳を口元に当てた一枚を見て何か来たなら、それがそのまま理由でいい。
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